日本の特徴 民族宗教(神道)が世界宗教(仏教)と仲良し!

 

はじめの一言

「誰の顔にも陽気な性格の特徴である幸福感、満足感、そして機嫌のよさがありありと現われていて、その場所の雰囲気にぴったりと融けあう。
(イザベラバード 明治時代)」

「逝き日の面影 平凡社」

 

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今回の内容

・「世界3大うざい国」の共通点
・世界宗教と民族宗教
・日本の特徴
・「世界3大うざい国」の共通点

 

・「世界3大うざい国」の共通点

10年以上前、海外旅行をしていたときに「世界三大悪人」という言葉を何回か聞いた。

「中国人・エジプト人・インド人」がそれ。
「だます」「ぼったくる」「やり方が強引」といった理由で、旅行者のなかで彼らの悪名は高かった。
ただ、この「悪人」は旅行者を相手に金もうけをしようする人のこと、一般の人たちではない。

最近では、「インド・モロッコ・エジプト」が、「世界三大うざい国」と言われているらしい。
そう呼ばれる理由を旅行者から聞いたりネットで調べたすると、これもさきほどの「世界三大悪人」とよく似ている。
「商売が強引で、しつっこい!」ということらしい。

 

モロッコには行ったことがないから知らないけど、エジプト人とインド人であれば、「確かに」と共感できる。
それで、この「三大うざい国」を見てあることに気づいた。
これって、イスラーム圏の国じゃん。

エジプトとモロッコはイスラーム教の国として有名。
インドはヒンドゥー教のイメージが強いけど、世界第3位のイスラーム大国でもある。

インドでのイスラーム教徒人口は、2014年の時点で1億8000万人を超えているとされる。イスラーム教徒の人口規模はインドネシアの約2億人、パキスタンの1億7000万人についで世界第3位であり

(ウィキペディア)

インドの場合、イスラーム教徒は北部にたくさんいる。
これは、イスラーム教の国「ムガル帝国」がインド北部を支配していたためだ。
タージマハルやジャーマスジットなどの観光名所もこの時代に建てられている。

 

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ご存じインドのタージマハル!!

 

旅行者のブログで見ると、日本人旅行者が「うざい!」と言っているのは、インド北部のイスラーム教の影響が強いところだ。
インド南部のヒンドゥー教の影響が強いところではない。

ボクもインド南部に行ったことがあるけれど、人びとはおだやかで、強引さやしつこさがなかった。
北部と違って、リラックスして旅をすることができる。
インド南部で出会った日本人が「ここはインドじゃないみたいですね」なんてことを言っていた。
その気持ちはよく分かる。
インド人に聞いても、インドの北と南では人々の気質がまったく違うという。

 

やっぱり、「うざい!」ということとイスラーム教には、何か関係があるような気がする。
そういうことで、イスラーム教と「うざい」の関係を考えてみた。

でもそれを書く前に、「宗教」というものを簡単に確認しておこうと思う。

 

イエメンのイスラーム教徒

 

・世界宗教と民族宗教

宗教は大きく「世界宗教」と「民族宗教」とに分けられる。
世界宗教は、国や民族を越えて世界に広がっている宗教のこと。

世界宗教

民族・国籍・階級などにかかわりなく世界に広く伝播(でんぱ)している宗教。
仏教・キリスト教・イスラム教がその代表例で、開祖があり、人間性の深い理解に基づく個人の救済を教説の中心としているのが共通点。

(大辞泉)

世界宗教の仏教・キリスト教・イスラーム教はアジアで生まれている。
そしてこの中では、イスラーム教が一番新しい宗教だ。
イスラーム教が生まれたころ、日本では聖徳太子(厩戸皇子:うまやどのみこ)が活躍していた。

一方の民族宗教とはこんなもの。

民族宗教

特定の民族によってのみ担われる宗教。
その民族の伝統や習慣と深く結びついていて成立・存続する。ユダヤ民族のユダヤ教、日本の神道など。(大辞泉)

神道を信仰する国は日本だけ。
神道は日本や日本人以外には広がっていない。
こんな宗教が民族宗教になる。

 

 

・日本の特徴

世界の国では、世界宗教が伝わると人びとはそれまで信仰していた宗教(民族宗教)からその世界宗教に移ってしまうことが多い。
たとえば韓国をみると、仏教が来る前にあった宗教(信仰)が今ではほぼ姿を消している。

「ムーダン(巫堂)」と呼ばれる民間信仰として残っているだけ。

巫堂

朝鮮半島伝統の文化、巫堂(ムーダン)。今回は土着宗教とも、精神文化ともいえる

KONESTのHPから

「土着宗教」とあるけど神道のような民族宗教とは違う。

 

「青森県の恐山(おそれざん)のイタコや、沖縄のユタなどと比較されることも多いようです(同上)」とあるように、巫堂(ムーダン)は日本でいう霊能者のような人。

韓国人の友だちもこう言う。
「ムーダンは宗教ではないです。霊が乗り移る人で、怖いしちょっとアヤシイですね」

でも仏教が伝わる前の、朝鮮半島で人々の信仰の様子はムーダンから見えてくる。

仏教や道教の影響を多く受けています。しかし巫堂の歴史はそれらの宗教よりももっと古く、かつては王朝の儀式にも使われていたんです(同上)

このムーダンが使う呪符(じゅふ)を見たことがある。
それが中国の道教の呪符とそっくりで驚いた。

世界宗教の仏教を受け入れた韓国では、「朝鮮半島の民族宗教」というものを見ることはほとんどできないだろう。

それは仏教国のタイやミャンマーも同じ。
今では「仏教前の信仰の様子」というのがほとんど分からない。
タイの場合は、「ピー信仰」があるか少しは見えてくるけど。

 

川の神(精霊)に供物をささげて船旅の安全を祈っている(タイ)。

 

この点で日本は違う。

「神と仏のどちらが大事ですか?」

と日本人が聞かれても答えられないだろう。
どっちも同じくらい大切だから。

日本には全国各地に神社があって、とくに伊勢神宮は「日本最高の聖地」と言ってもいいほどの信仰を集めている。
同時に、日本人は奈良や京都にある仏教の寺も大好きだ。

「神道と仏教はどっちが上か?」と聞かれても「どちらも大事」と答える人が一番多いはず。

日本の民族宗教である神道は、今の日本で仏教と並ぶほどの「国民宗教」になっている。
ほとんどの日本人は神道と同時に仏教も信仰していて、神様と仏様に手を合わせて頭を下げる。

こんな国は日本しか見たことがない。
民族宗教(神道)が世界宗教(仏教)と同じくらい信仰されている国というのは、ボクが旅した東アジア・東南アジア・中東・アフリカにはなかった。

 

民族宗教の神道と世界宗教の仏教を同時に信仰している。

これが日本人の信仰の特徴だ。
仏教という世界宗教が日本に伝わっても、その前からあった神道は消えずに残っている。

世界的に有名な社会人類学者の「レヴィ・ストロース」は、日本についてこういっている。

「西洋では、新しく一つの形をとれば、前のものは見捨てられ、再び戻ってくることはないのです。日本では神社と歴史とが相互排除的なものとは考えられておりません
(レヴィ・ストロース 昭和)」

「日本賛辞の至言33撰 ごま書房」

次回はイスラーム教について書いていきます。

 

おまけ

南インドのボートトリップです。
インドには、こんなに静かで落ち着いたところもあるのです。

 

 

 

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2 件のコメント

  • 日本って、海外から来た新しいものを進化させると思ってたけど、そうじゃなくて、新しいものと古いものを等価値なんだなー
    、って、読んでて、思ったけど、そう思った瞬間、それも違う事に気づいた。新しい事を必要以上に受け入れないように反発するが、必要以上に排斥しないように反発する。逆に、古いものを必要以上に排斥しないように反発するが、必要以上に遺さないようにも反発する。そこが、まさにデジタル思考でゼロか1しかない海外と日本の決定的な違いの最大級で、日本はまさに真逆。0か1の海外の逆に、日本は0.5しか認めない。0.5の日本文化に1の海外文化が入って来たとき、日本人はそれを100パー認める事もせず、百パー認めない事せず、50パーだけ認めて50パーだけ認めてる古い物と同価値にする。つまり、古いものも50パーしか認めてないから国民的に信心深く見えないのだが、それによって、古いものと新しいものとの融合を可能にする。100パーしか認めない文化の方が、古い100パーを否定するくらいの新しい発明を生み出せる為に、日本人は新しい発明は苦手かもしれない。が、新しい物と古い物を同等に見る日本人がゆえに、それらを融合させて進化させる事が出来る。そこが、日本人の特性かもしれない、と思いました。

  • >日本人は新しい発明は苦手かもしれない。が、新しい物と古い物を同等に見る日本人がゆえに、それらを融合させて進化させる事が出来る。
    そのとおりだと思います。日本は外来のものを排除しないで、日本の必要に応じて取り入れます。韓国やベトナムは漢字を使っていましたけど、いまは実質的に廃止されました。日本語では漢字とひらがなを同時に使っています。江戸時代も漢学と蘭学の良さを取り入れていました。日本は排除しないで取捨選択しながら、独自の文化をつくってきたと思います。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。